リースバックについて
リースバックという言葉を聞いたことはありますか?最近ではCMで聴くこともあります。
ここでは、リースバックについての説明とメリット・デメリットを説明します。
リースバックとは
リースバックとは、自分が所有している不動産を売却し、同時に買主と賃貸借契約を結ぶことにより、その売却した不動産に住み続けることです。
相続させたくない不動産を所有している場合や、ある程度まとまった現金が必要な時に利用されることがあります。
現預金や自動車なら、誰に相続させようと考えやすいのですが、不動産は難しい部分もあります。相続人からすると、その不動産は相続したくなかった、と感じることも少なくありません。
別に住む場所があれば、空き家になるだけですし、空き家と言っても所有しているからには管理する必要があります。また、固定資産税もかかります。『不動産』ではなく『負動産』といわれることもあります。
リースバックのメリット
リースバックのメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
①(立地などによりますが)ある程度まとまった売却代金を手に入れることが出来ること
②住み慣れた不動産に住み続けることが出来ること
③近隣の住民にリースバックをしたことがバレにくいこと
④不動産の相続を考える必要がなくなること
⑤固定資産税の支払がなくなること
⑥次の住む場所を探す必要がないこと
①ある程度まとまった売却代金を手に入れることが出来ること
自分の不動産を売却することから、ある程度の現金を得ることが出来ます。ただ、不動産の立地や築年数などにより売却代金は大きく増減します。
②住み慣れた不動産に住み続けることが出来ること
不動産売却後、その不動産の賃貸借契約を締結し、所有者から借主の立場になりますので、引っ越しは不要です。
③近隣の住民にリースバックをしたことがバレにくいこと
リースバックをしても、その不動産に住み続けることから、普段と何ら変わらない生活を続けることになります。
ただ、不動産謄本(登記事項証明書)では所有者が変更されますので、他人の不動産謄本を閲覧する趣味の悪い人がいれば、リースバックしたことがバレるかもしれません。ちなみに、所在地番や家屋番号が分かれば、誰でも数百円で他人所有の不動産謄本を閲覧することが出来ます。
④不動産の相続を考える必要がなくなること
リースバックすることにより、自分の所有物ではなくなるため、その不動産について相続を考える必要はなくなります。
ただし、賃料未払いや用途変更をしていると、相続人に迷惑がかかる可能性はあります。
⑤固定資産税の支払がなくなること
毎年1月1日時点で不動産を所有している人に固定資産税や都市計画税が課せられます。リースバックすることにより、不動産所有者ではなくなるため、来年からはこれらの税金を支払うことはなくなります。
⑥次の住む場所を探す必要がないこと
リースバックにより、その不動産に住み続けることになりますので、次の住む場所を探す必要はありません。
特に高齢者は、新たに住む場所を確保することは難しく、引っ越しの手続きなどは大変ですので、次の住む場所を探す必要がないことは安心につながるでしょう。
リースバックのデメリット
リースバックにはメリットがありますが、デメリットもあります。
①買主が見つかりにくいこと
②思うような金額で売却できない可能性があること
③住宅ローン残高が残っていれば、手出しが発生する可能性があること
④家賃を支払い続ける必要があること
⑤長生きすれば、結果的に売却代金よりも支払賃料のほうが多くなる可能性があること
⑥不動産業者に手数料を支払うこと
①買主が見つかりにくいこと
リースバックで不動産を売ることになりますが、賃貸借契約付の不動産売買になります。買主は自分で住んだり、建物を取り壊したりすることが出来ません。
よって、一般的な家が欲しい人ではなく、個人・法人の不動産投資家が買主になることが多いです。
そういった不動産投資家も購入したい物件の希望(駅から徒歩〇分、築年数〇年以内など)がありますので、すぐに買主が見つかるとは限りません。
②思うような金額で売却できない可能性があること
買主が見つかりにくいことにも関連しますが、不動産売買代金は売主と買主の合意によります。こちらは価値のある不動産であると考えていても、相手方は価値のあまりない不動産であると考えていることもよくあります。
固定資産課税台帳や周辺物件の売買事例を基にすることが多いです。
③住宅ローン残高が残っていれば、手出しが発生する可能性があること
住宅ローン残高が残っている状態でも不動産を売却することは可能です。ただし、住宅ローン残高を完済することが条件となります。
住宅ローン残高が100万円である一方、不動産売買代金が80万円のときは、20万円が手出しとなります。
実際の流れとしては、買主は売主がローンをつけている銀行口座に80万円を振り込み、売主口座に元から準備していた20万円と合わせた100万円を銀行に返済することにより、銀行は所有権変更を認めてくれます。
④家賃を支払い続ける必要があること
リースバックにより、不動産の所有者から借主になります。よって、新たな所有者(不動産の買主)に賃料を支払わなければなりません。
不動産の売買代金と同じく、家賃は貸主と借主の合意によって決められます。
⑤長生きすれば、結果的に売却代金よりも支払賃料のほうが多くなる可能性があること
売買代金も家賃も、売主・買主の合意によって決められます。
例えば、売買代金500万円、毎月の家賃5万円でリースバックしたとします。100ヵ月(8年4ヵ月)以上住み続けると、売買代金よりも支払った賃料のほうが多くなります。
売買代金と家賃だけを考えてリースバックするのではなく、自分の年齢と資産も考えなければなりません。
⑥不動産業者に手数料を支払うこと
自分で買主を見つけてきて、売買代金や家賃を決めることが出来ればいいのですが、多くの場合はそれが難しいでしょう。
そこで、不動産業者に仲介を依頼することになりますが、当然手数料がかかってしまいます。
ですが、不動産業者が買主を見つけてくれる可能性がありますし、こちらの希望を伝えておけば、自分の代わりに買主と交渉もしてくれるでしょう。
まとめ
・リースバックにはメリットもデメリットもあります。
・売買代金と家賃だけでなく、自分の年齢や資産も考える必要があります。
・リースバックを考えている方は、無料で査定してくれる不動産業者に相談してみても良いでしょう。
・不動産を売却するときは、相続人に相談してみても良いでしょう。