遺言書を作成するきっかけ
遺言書を作成するきっかけは、人によって様々です。ここでは、主なきっかけを説明します。
①家族構成が変化したとき
例えば、結婚したり、離婚したり、子どもが生まれたりしたときや、逆に配偶者や父母などの親族が亡くなったときも遺言書を作成する機会になります。
家族構成が変化すると、しばらくの間は多忙な毎日を過ごすことになりますので、少し落ち着いた時期に遺言書の作成を考えてみましょう。
民法で定められている法定相続分は、家族構成により推定相続人が決められています。よって、家族構成が変化することにより、相続人が変わる可能性があります。
「子どもが生まれたら、子どもに多く財産を残しておきたい」「結婚をしたから、自分の親や兄弟に財産を相続させず、全て配偶者に相続させたい」などの希望があると思います。その希望を叶えるためには、遺言書を書くしかありません。
遺言書を作成したとしても、一生その遺言が有効であるとは限りません。後日、遺言書の撤回や再度作成することにより、遺言内容を変更することが出来ます。ですので、遺言書を作成しておくのも良いかと思います。
なにより、相続はいつ発生するか(遺言者がいつ亡くなるか)分かりませんので、相続の希望があれば早めに遺言書を作成しておくに越したことはありません。
②周りで相続トラブルが発生したと見聞きしたとき
相続の話は、あまり友人や知り合いに話さない人が多いのではないかと思います。しかし、相続で大変な思いをしたことを伝える方もいらっしゃいます。実際、周りで相続トラブルがあり、遺言書作成に踏み切った、という方もいらっしゃいます。
また、たまにテレビなどでも相続トラブルについて説明していることもありますので、不安になることと思います。
相続トラブルを出来るだけ避けるためには、遺言書の作成は必須です。ただし、遺言書を作成したからといって相続トラブルが絶対に起きない、というわけではありません。相続トラブルは思ったより身近にあるかもしれません。
遺言書を作成することにより、相続人への思いも残すことが出来ます。また、遺言書を作成し終えたときには、ちょっと満足感や安心感もあるかもしれません。
上でも説明しましたが、遺言書は後々でも書き直す(再度作成する)ことが出来ますので、少しでも相続トラブルを懸念されているのでしたら、遺言書を作成してみても良いかもしれません。
③推定相続人から頼まれたとき
推定相続人である配偶者や子どもから、遺言書を作成してほしいと頼まれることがあります。
遺言書があれば、すぐに遺産分配の手続きを進めることが出来ますので、相続人からしても楽になります。
推定相続人から遺言書の作成を頼まれたとき、推定相続人の言うことをそのまま遺言書に記載することはオススメしません。
例えば、相続人が遺言者の長男と長女だけ、遺産総額500万円のケースで、
長男から「遺言書で、『長男に400万円、長女に100万円を相続させる』って書いてよ」
と頼まれたとしても、遺言者自らが遺言内容を考える必要があります。長男の言葉をそのまま遺言書に書くと、相続時に長女が文句を言いだしかねません。
推定相続人から頼まれて遺言書を作成することはありますが、遺言内容に悩まれると思います。そういうときは、冷静に判断できる第三者である行政書士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
④チラシなどで相続について考えるきっかけを得たとき
普通に生活していて、相続や遺言について考える機会は多くありません。そんなとき、ふとチラシがポストに入っていたり、ショッピングモールなどで相続相談会が行われているのを見ると、相続について考えるきっかけになります。
いざ相続について考えてみると、案外知らないことが多いことが分かります。誰が相続人になるの?相続割合はどのくらい?何故遺言書を作っておくと良いの?と思うかもしれません。
そもそも、相続について考えることは、自分の未来と家族(相続人)のことを考えることとも言えます。家族(相続人)のために出来ることがあるのなら、今のうちにやってみても良いでしょう。
遺言書を作成する一番のメリットは、相続トラブルの回避が見込めることです。相続人がトラブルに巻き込まれたり、相続人同士で諍いが起きることを望む人は極めて少ないでしょう。
しかし、何がきっかけでトラブルが起きるか分かりません。ですので、今のうちに遺言書で相続分の指定をしておくのです。自分が遺言書を作成するだけで、相続人の面倒事が無くなるのなら、悪い気はしないでしょう。
まとめ
・遺言書を作成するきっかけは人それぞれです。
・遺言書を作成することは、自分の未来と家族(相続人)のことを考えることと言えます。
・相続トラブルは案外身近にありますので、遺言書の作成が有用です。
・遺言者が相続人のために出来る数少ない作業です。
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