遺贈者・受遺者・受贈者の違い

 遺言・相続の用語で「遺贈者」と「受遺者」と「受贈者」というものがあります。似ている用語ですし、違いが分かりにくい方もいらっしゃるかと思います。「受贈者」に至っては「受けるのか贈るのかどっちなんだ!」と思われるでしょう。
 簡単に図に表すと、こんな感じです。

遺贈者

 遺贈者とは、遺贈をする人のことを言います。
 遺贈とは、遺言により、無償で、財産の一部・全部を承継させることです。相続人に対しても、相続人以外に対しても遺贈することが出来ます。

 遺贈をするために、相手方(受遺者)の許可や承諾を貰う必要はありません。遺贈者だけの意志で行うことが出来ます。遺言書を作成するときに、相手方の事前承認は要らないのと同じように考えてください。

 ちなみに、遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。
 特定遺贈は、ある特定した財産を遺贈するもので、「〇〇銀行の預貯金を遺贈する」のように記載します。
 一方、包括遺贈は、「全財産の2分の1を遺贈する」のように財産を特定せずに記載します。包括遺贈の場合は、資産だけでなく負債も遺贈することになりますので、注意が必要です。
 

受遺者

 受遺者とは、遺贈者から遺贈を受けた人のことを言います。
 相続人が受遺者になるパターンもありますし、相続人以外が受遺者になるパターンもあります。

受贈者

 受贈者とは、贈与を受けた人のことを言います。
 贈与とは、無償で財産を譲り渡す契約のことですので、有償での贈与はありません(有償なら売買になります)。

 受遺者も受贈者も、他人から財産を無償で受け取るという点では同じですが、実は細かな違いがあります。
 受贈者は基本的に生きている人から財産を受けることであるのに対し、受遺者は遺言により財産を受け取るので、亡くなった人から財産を受けることになります。
 また、贈与は遺贈と違い、相手方との契約となりますので、相手方の承認が必要です。
 負担付贈与や死因贈与などの種類もあります。
 さらに、贈与の場合は贈与税がかかりますが、遺贈の場合は相続税がかかります。
 この他にも違いがありますが、大きな違いは上記のとおりです。

まとめ

・受遺者と受贈者は、相手方への承認があるか、相手方が生きているか亡くなっているかで区別することが出来ます。

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