条件変更(リスケジュール)について
金融機関から資金調達を行い、決められた条件通りに返済出来れば問題ありませんが、どうしても返済が出来なくなるということがあります。キャッシュフローの問題で、どうしても手元に現預金が残らないということもあります(キャッシュフローについては、「財務の基本(キャッシュフロー計算書)」をご参照ください)。
金融機関への返済が出来なくなる例としては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により経済停滞が起きたり、自社の経営が思うようにいかなかったり、取引先の急な倒産などが挙げられます。
金融機関からの借入条件を変更することは条件変更(リスケジュール/リスケ)と呼ばれます。
では、金融機関への条件通りの返済が出来なくなる見込みなら、どうすれば良いのでしょうか?
まずは金融機関に事情を説明しましょう。
金融機関としても、融資先が倒産することにより融資したお金が全額返ってこなくなることを一番避けたいところです。ですので、まずは金融機関に相談することから始めましょう。
もちろん、条件変更できるかどうか、どこまで条件が緩やかになるかは審査次第になりますが、理由もなく条件緩和を申し出るのはやめましょう。
条件緩和には、①当面は毎月の返済額を減らし、返済期限を延長する方法、②当面は毎月の返済額を減らし、期限に一括で返済する方法、③当面は毎月の返済額を減らし、その後の返済額を増加して返済期限は延長しない方法、④金利を下げる方法、の4つの方法が多いのではないかと思います。
①当面は毎月の返済額を減らし、返済期限を延長する方法
借入している融資金の内容にもよりますが、毎月の返済額を減らし、資金繰りを安定させる方法です。毎月の返済額を減らした分、返済期限が伸びることになります。下記例のように返済期限まで余裕がある場合は、③の方法を採ることが多いです。この結果、借入している期間が長くなりますので、トータルで支払う利息の金額が増加することになります。
例えば、当初条件が「毎月元利金10万円、返済期限を令和10年4月」となっている状態で、リスケ後の返済方法が「毎月元利金7万円、返済期限を令和12年4月」とするようなイメージです。
②当面は毎月の返済額を減らし、期限に一括で返済する方法
返済額を減らす点では①と同じですが、返済期限を変更せず、期限に一括で返済する点で①の方法と異なります。
例えば、当初条件が「毎月元利金10万円、返済期限を令和10年12月」となっている状態で、リスケ後の返済条件が「毎月元利金7万円、ただし期限に48万円を返済する(返済期限は令和10年12月で変更なし)」とするようなイメージです。
返済期限までに、返済額以上の資金が貯められる見込みがあるときは、この返済方法となることが多いです。
③当面は毎月の返済額を減らし、その後の返済額を増加して返済期限は延長しない方法
少しややこしいですが、例えば、当初条件が「毎月元利金10万円、返済期限を令和10年12月」となっている状態で、リスケ後の返済条件が「令和7年4月から毎月元利金7万円、令和8年4月から毎月元利金12万円を返済する(返済期限は令和10年12月で変更なし)」とするようなイメージです。
最初は返済額を減らし、途中から多くなることにより、返済期限までに帳尻を合わせていることがポイントです。
返済期限が到来しているかどうかで①と③の方法を使い分けることが一般的です。返済期限が到来している、もしくはすぐに到来する場合は①の方法で期限を延長させ、返済期限がまだ先の場合は③の方法を採ることが多いです。
④金利を下げる方法
上記①から③の方法と異なり、返済方法や期限を延長せず、金利を引き下げる方法です(金利を引き下げることにより、毎月の返済額が下がります)。
この方法は難易度が高いと考えるべきです。金融機関からすると、金利を下げるということは利息収入が減るということですので、前向きに検討してくれるとは限りません。しかし、金利引下げとなった場合は、将来的な金利負担も大きく下がりますので、一番メリットのある方法であるとも言えます。
ちなみに、一時的に金利を引き下げてくれるパターンもあります。例えば、向こう1年間は金利を引き下げ、1年経過後は元の金利に戻す、というものです。借入している金額や金利にもよりますが、このような提案が金融機関からなされた場合は、その提案に乗っても良いかもしれません。
これら以外にも、条件変更の方法は多くあります。ただ、共通して言えるのは、本当に資金繰りや返済に困っていないと条件変更をしてもらうのは難しい、ということです。
金融機関としても、条件変更の申し出があれば相談に乗りますし、必要なら条件変更を認めますが、条件変更するなりの理由が必要です。理由なく条件変更に応じることは出来ません。かならず理由付きで条件変更の申し出を行いましょう。
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