「良い借金」と「悪い借金」
借金には「良い借金」と「悪い借金」があるのはご存じでしょうか?お金を借りることが全て悪いことではありません。
「良い借金」とは、投資を行いリターンを得ることを目的にしている借金です。つまり、資産を増やすために借りるお金です。
逆に「悪い借金」とは、投資目的ではなく、浪費目的の借金です。
具体的には、「良い借金」には住宅ローンや教育ローン、事業資金などが挙げられます。住宅ローンは投資とは少し離れていますが、金利は比較的低く、住宅ローンを返済することで、実質的な自宅の価値(自宅の時価ー住宅ローンの残債)が増えます。住宅ローンを完済しても、土地がある限り自宅の価値がゼロになることはありません(ただし築古建物の解体を行わなければならない、などの場合は除きます)。そもそも住宅ローンを皆が悪いものと考えていれば、住宅ローンで家を買う人はいないか少数のはずです。
教育ローンは自己投資に繋がりますのでイメージしやすいと思います。また、事業資金も自己投資(自社投資)になります。
事業資金について少しリターンを考えてみましょう。
貸借対照表で現預金100万円、自己資本100万円のみの法人があったとします。利益率20%の事業を行ったとすれば、自己資本100万円×20%で20万円の利益になります。
一方、金融機関から100万円を借り入れて、現預金200万円、借入金100万円、自己資本100万円のみの法人があったとします。上と同じく利益率20%の事業を行ったとしたら、(借入金100万円+自己資本100万円)×20%で40万円の利益になります。
当然といえば当然ですが、同じ条件の場合、借り入れる金額が大きいほど利益が大きくなります。これはレバレッジ効果といいます。借入をすればするほど事業が大きくなるスピードが速いことが分かると思います。事業が大きくなれば多額の借入をしなくても、ある程度の利益は確保できるようになります。
ただ、注意しなければならない点があります。それは、一気に多額を借入しないことと事業計画を確認し続けることです。
零細企業が一気に多額を借入して、もし思うような利益を取れない場合は最悪倒産することになります。また、支払利息の負担もありますので、徐々に借りていくのが良いと思われます。なお、金融機関も返済可能性を審査しますので、返済見込みが薄い場合は減額して融資したり、融資を受けられなかったりします。
事業計画を確認し続けることも非常に大切です。計画通りに進むケースはほとんどありません。途中で変更しなければならないことがよくあります。それが上方修正なら良いのですが、下方修正することもあります。計画を下方修正したとき、借入金を返済できるかどうか、返済するためにどうすれば良いかを考えなければなりません。
悪い借金は、イメージのとおりギャンブルに使うために借りるお金です。また、金利が異常に高い借金も投資効率が悪くなり、悪い借金とされることもあります。
以上のとおり、借金すべてが悪いものではありませんが、借金をするならば計画性が大事ですので、その点を踏まえて借入を考えてみるのも良いかと思います。