理想的なキャッシュフローの組み合わせ

理想的なキャッシュフローの組み合わせ

 財務の基本(キャッシュフロー計算書)の続きです。

 キャッシュフローには営業CF、投資CF、財務CFの3種類があります。そして、それぞれのCFはプラスかマイナスになります。組み合わせると、8種類できます。
 この8種類の中には、望ましいCFの組み合わせもあれば、非常に良くない組み合わせもあります。

 キャッシュフローの組み合わせは、以下のとおりです。なお、それぞれのCFの金額にも注意が必要です。

①営業CF:+ 投資CF:+ 財務CF:+

 営業CF・投資CF・財務CFいずれもプラスになっている場合です。つまり、本業で稼ぎ、借入も行っていますが積極的な投資はしていないということになります。

 この場合の会社の状態は、それぞれのCFの金額によりますし、良い場合も悪い場合もあります。

 一時的に現預金を確保し、次期に投資活動をするなどの事業拡大計画があるかもしれませんし、逆に次期に多額の費用支払いの必要があるかもしれません。

 このCFの組み合わせの場合は、それぞれのCFの金額と次期の計画も確認する必要があります。

②営業CF:+ 投資CF:+ 財務CF:ー

 営業CF・投資CFはプラスですが、財務CFはマイナスになっている場合です。つまり、本業で稼ぎ、固定資産などを売却して現金(資金)を確保し、借入金を返済していることになります。

 場合によりますが、このようなCFの組み合わせは問題ないと考えられます。
 ただし、投資CFについては注意しなければなりません。不要な固定資産を売却し、借入金を返済したのでしたら問題ありませんが、本業CFが少ないために必要な固定資産をやむなく売却して借入金を返済した可能性もあります。

 上に書いた通り、基本的には問題ないCFの組み合わせですが、それぞれのCFの金額によっては慎重な判断が必要です。

③営業CF:+ 投資CF:ー 財務CF:+

 営業CF・財務CFはプラスですが、投資CFはマイナスになっている場合です。つまり、本業で稼ぎ、借入を行って現金(資金)を確保し、設備投資に充てていることになります。

 このCFの組み合わせも基本的には問題ないと考えられます。

 営業CFで十分に現金(資金)を貯められなかったから、借入をして設備投資したということですので、積極的な事業拡大を目論んでいると考えられます。中小企業に多く見られるパターンです。
 次期からは、行った設備投資により返済が可能かどうかを見ていくことになります。

④営業CF:+ 投資CF:ー 財務CF:ー

 営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスになっている場合です。つまり、本業で稼ぎ、設備投資を行い、借入金も返済していることになります。

 理想的なCFの組み合わせです。

 営業CFで現金(資金)を十分に確保し、設備投資を行うことにより事業拡大を図り、なおかつ借入金を返済することにより将来的な支払利息負担も軽減しています。

⑤営業CF:ー 投資CF:+ 財務CF:+

 投資CFと財務CFがプラスで、営業CFがマイナスになっている場合です。つまり、本業で稼げず、設備投資を売却し、さらに借入までしています。

 非常に悪いCFの組み合わせです。

 そもそも、本業で稼げていないことが問題ですので、早急に改善する必要があります。
 たまたま1期だけこのCFの組み合わせとなった場合は、何とかなる可能性もありますが、このCFの組み合わせが続いた場合は自転車操業になることが見込まれます。
 それぞれのCFの金額にもよりますが、今後の事業計画を作成することをオススメします。

⑥営業CF:ー 投資CF:+ 財務CF:ー

 投資CFがプラスで、営業CFと財務CFがマイナスになっている場合です。つまり、本業で稼げなかったので、設備を売却し借入金を返済している状態です。

 借入金が減っていますが、あまり良くないCFの組み合わせです。

 このままいくと、いずれ売却できる設備もなくなり、借入金の返済が出来なくなります。
 たまたまこの期だけが営業CFマイナスになったのでしたら致命的ではないでしょうが、このCFの組み合わせが続くと、いずれ借入をして、その資金で借入金を返済するという悪循環に繋がります。
 利息をひたすら支払い続け、赤字が膨らんでいく、なおかつ現預金も大した資産もないという悲惨な状態になりますので、早急に改善すべきCFの組み合わせです。

⑦営業CF:ー 投資CF:ー 財務CF:+

 財務CFがプラスで、営業CFと投資CFがマイナスの場合です。つまり、本業で稼ぐことは出来なかったが、借入を行い設備投資を行った状態です。

 そこまで悲観的になるほどでもないCFの組み合わせです。

 営業CFがマイナスであることは残念ではありますが、資金調達により設備投資が出来ていますので、事業計画によっては問題のないCFの組み合わせであると考えられます。
 創業間もない会社はこのようなCFの組み合わせになることは良くあります。ただ、次期以降でしっかり営業CFをプラスにすることが必要です。
 このCFの組み合わせの場合は、次期以降もCFを確認し続ける必要があります。

⑧営業CF:ー 投資CF:ー 財務CF:ー

 営業CF・投資CF・財務CFいずれもマイナスになっている場合です。つまり、営業では稼げなかったものの、設備投資もしているし借入金も返済している状態です。

 一見すると「どういうこと?」となるでしょうが、このようなCFの組み合わせもあり得ます。これは、もともとある程度の現預金を有していれば可能です。

 このCFの組み合わせも良くありません。

 たまたまこの期だけが営業CFがマイナスになった場合は問題ないと判断できますが、このCFの組み合わせが続いた場合は注意が必要です。現預金が底を尽きるのが先か、設備投資の効果が表れて営業CFが十分に計上できるのが先か、のレースが始まります。後者の場合は問題ありませんが、前者の場合は資金調達をするか設備投資を売却するかを迫られることになります。
 このCFの組み合わせとなった場合は、次期も引き続き注視するとともに、前期の決算内容も確認しなければなりません。

まとめ

 8種類のCFの組み合わせの評価は下記の通りとなります。
 ケースバイケースとしているものは、事業計画や時期のCFがどうなったかを確認する必要があるものです。

 起業間もない事業者や、経営に行き詰まっている事業者は、まずは営業CFをプラスにすることを目指しましょう。

組み合わせ評価
①営業CF:+ 投資CF:+ 財務CF:+ケースバイケース。
②営業CF:+ 投資CF:+ 財務CF:ー基本的に問題なし。
③営業CF:+ 投資CF:ー 財務CF:+基本的に問題なし。
④営業CF:+ 投資CF:ー 財務CF:ー理想的な組み合わせ。
⑤営業CF:ー 投資CF:+ 財務CF:+非常に悪い。
⑥営業CF:ー 投資CF:+ 財務CF:ーあまり良くない。
⑦営業CF:ー 投資CF:ー 財務CF:+ケースバイケース。
⑦営業CF:ー 投資CF:ー 財務CF:+ケースバイケース。

まずは無料でご相談!

☎ 090-7581-0664

✉ daitoh.office@gmail.com

営業時間:9:00~18:00(土・日・祝日を除く)

友だち追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です