財務の基本(貸借対照表)

財務の基本として、貸借対照表、損益計算書キャッシュフロー計算書を理解する必要があります。ここでは、貸借対照表についてご説明致します。


 貸借対照表は、①流動資産、②固定資産、③流動負債、④固定負債、⑤純資産の5つに分けられます。
 ①流動資産、②固定資産の合計と③流動負債、④固定負債、⑤純資産の合計は必ず一致します。

①流動資産

 流動資産には、現金や預金のほか、売掛金・受取手形、商品、材料、有価証券などの1年以内に現金化が予定されているものがあります。
 また、貸倒引当金も流動資産に含まれますが、マイナスの資産として計上されます。

②固定資産

 流動資産と異なり、現金化に1年以上かかるものや、そもそも現金化を目的としていないものが固定資産に計上されます。
 また、固定資産は有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の3つに分けられます。
 有形固定資産とは、土地や建物、機械装置などです。
 無形固定資産とは、ソフトウェアやのれん(買収した会社のブランド力など目に見えない価値)などです。
 投資その他の資産とは、投資有価証券や関連会社株式、子会社株式などです。

③流動負債

 1年以内に支払わなければならない負債です。例えば、買掛金(商売上の未払金)や支払手形、短期借入金、未払金などがあります。
 また、前受金も流動負債に計上されます。前受金とは、読んで字のごとく事前に受けたお金であり、パッと考えると資産に計上されるのでは?と思われるかもしれませんが、事前にお金を受け取るということは、後々こちらから物を渡したりサービスを提供しなければならないということですので、負債に計上されます。

④固定負債

 流動負債と異なり、支払までが1年以上先の負債です。例えば、長期借入金や社債などがあります。
 会社によっては、設備資金を長期で借りて、全額を固定負債(長期借入金)に計上していることもあれば、1年以内に返済する分は流動負債(短期借入金)に計上し、それ以外を固定負債(長期借入金)に計上していることもあります。
 

⑤純資産

 純資産には、資本金や資本準備金、利益剰余金などが計上されます。この純資産の多寡で、会社に余裕があるかどうかをある程度判断することができます。
 ちなみに、資産より負債のほうが多く、純資産がマイナスになることもあり、これを「債務超過」と言います。「債務超過」の場合は、理由にもよりますが会社の存続にも関わってきますので、早急に手当てが必要であると考えられます。
 債務超過になる原因は、ずばり赤字決算になることです。純資産のうち、利益剰余金は、その会社が設立したときから決算期までで発生した利益・損失を表しています。赤字決算が続いたり、多額の赤字を計上した場合、利益剰余金がマイナスとなる可能性があり、そのマイナスが資本金以上の場合は純資産がマイナス(=債務超過)になります。
 債務超過になると、金融機関からの借入も難しくなるばかりか、いずれは借入金の返済も出来なくなってしまう可能性があります。
 毎年利益を出し続けることが望ましいですが、事業に確実はありませんし、赤字決算になる年だってあるでしょう。赤字決算になった場合は、何故赤字決算となったのかを分析し、売上向上策や経費削減策を打つ必要があります。

各項目のバランスについて

 純資産の金額が多いということは、資産が多く負債が少ないということになります。よって、純資産は多いに越したことがありません。
 負債が全くない会社はあり得ないことではないですが、ほとんどの会社は負債があります(無借金経営の会社でも、買掛金や未払金などを計上していることがあります)。
 資産も負債も計上されている会社で重要なのが、流動資産・固定資産・流動負債・固定負債のバランスです。

 まず、流動資産が流動負債と比べて多い、または流動資産と流動負債が概ね見合っていれば問題ありません。流動負債を支払うことができるでしょう。
 逆に、流動資産より流動負債のほうが大きい場合はどうでしょうか?この場合は、流動負債を支払うために、①固定資産の処分、②借入にて資金調達のどちらかを行う必要があります。固定資産の処分も資金調達も簡単にできるものではありませんし、経営基盤を揺るがしかねません。なので、流動資産はある程度有するようにしておいたほうが良いでしょう。

 次に、固定資産と固定負債のバランスをみてみます。固定負債の多くは(長期)借入金ですので、その借入金が資産のどこにいっているのかを確認する必要があります。
 長期借入金で土地・建物を購入した場合(いわゆる設備資金)、概ね両者の金額が見合うはずですので、問題ないでしょう。長期借入金をすぐに全額返済する必要もないですし、いざとなったら土地・建物を売却して返済すればいいのです。
 固定負債はいずれ返済しなければなりませんが、主となる長期借入金は、通常は長期間かけて少しずつ返済します。返済原資を確保できる固定資産(例えば、賃料収入を得られる収益物件)を長期借入金にて賄った場合は、問題ないと考えられます(完済まで入居し続け、家賃収入が入ってくることが前提ですが・・・)。
 では、運転資金を長期で借入した場合はどうでしょうか?この場合、固定負債(長期借入金)と、流動資産(現預金)に計上されることが多いです。現預金にお金が残っている状態なら、いつでも借入金を返済できますが、このお金を運転資金として人件費などに使用した場合、返済原資は売上金になります。売上金から返済をしていく必要がありますので、借入をしたならば頑張って今まで以上に売上を計上しなければならないのです。この点で、運転資金は設備資金よりもある意味難しいのではないかと思います。

 いずれにしても、資産が多い(純資産が多い)ことが望ましいのですが、なかなか思ったようにいかないのが事業です。
 もし機会がありましたら、貸借対照表をみて、資産・負債のバランスがどうなっているかを確認することをオススメします。

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