「遺産分割協議」
遺産分割協議とは、被相続人の相続財産を、相続人全員で分割するために協議するものです。また、遺産分割協議で合意した相続財産の分割方法をまとめた書類を、遺産分割協議書といいます。
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければならず、もし一部の相続人が遺産分割協議に参加していなければ、その遺産分割協議は無効になります。また、遺産分割協議の場に相続人以外の人がいたり、遺産分割協議時に詐欺や脅迫、錯誤があった場合にも無効となる可能性があります。
遺産分割協議を行わなければ、被相続人の銀行預金の払戻しや、不動産の名義変更などの相続手続きが出来ません。遺産分割協議書の作成に期限はありませんが、相続税の支払いについては期限がありますので、相続手続きの必要性も踏まえれば、早めに作成しておくほうが良いでしょう。
遺産分割協議の結果、相続人の一人が遺産をすべて相続する場合でも遺産分割協議書の作成が必要です。ちなみに、遺産を相続しない相続人は実質的な相続放棄となりますが、被相続人に負債(借金など)がある場合や、第三者の借入金の保証人となっている場合は、遺産を相続しない相続人であっても、金融機関などから借金の返済や保証人としての保証履行を迫られることがありますので、遺産分割協議を行うときは、被相続人の資産だけでなく負債もしっかり調査する必要があります。
本来ならば、被相続人の遺言書があれば、遺言書に則り遺産相続を行うこととなりますが、相続人全員の同意を得ることにより、遺言書ではなく遺産分割協議にて相続分を決めることが出来ます。
相続人がみんな仲が良く、相互でよく知っている間柄なら遺産分割協議はすぐに出来るかもしれません。しかし、遺産を目の前にすると相続争いが発生する可能性も十分にあります。ちなみに、遺産分割事件の約76%は遺産額5,000万円以下であったとのデータもありますので、遺産が多くなくても相続争いに発展しかねません。
さらに、場合によっては被相続人の配偶者と被相続人の兄弟姉妹(配偶者から見て義兄弟)のような離れた間柄で遺産分割協議を行わなければならないこともあります。何なら、前配偶者の子どもと現配偶者の子どもが相続人となり、お互いに顔も知らないのに遺産分割協議を行わなければならないケースもあり得ます。
このような相続争いは、遺言書を遺しておくことで回避することが出来ます。遺言書を遺しておけば相続争いや遺産分割協議は確実に避けることが出来る、というものではありませんが、遺言書があるほうが相続人としても楽になるはずです。
なお、相続人がお互いに相続分の主張をして、遺産分割協議がまとまらない場合もあります。その場合は、コチラをご参照ください。
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