知っていて損はない相続の基本④
遺留分とは?
遺留分とは、配偶者と第1順位(子ども)、第2順位(被相続人の父母)に対してのみ最低限の資産を相続し、遺族の生活を保障するために定められている最低限の相続財産の確保分です。なお、第3順位(被相続人の兄弟姉妹)には遺留分はありません。
遺言書では相続割合を自由に決めることができ、例えば3000万円の現金を配偶者(子ども無し)、被相続人の父母が相続するときに、遺言書で「配偶者には300万円、被相続人の父母に2700万円を相続させる」と記載されていた場合、配偶者からすれば「法定相続分でいえば、相続財産の3分の2である2000万円を相続するはずなのに、遺言書に従って300万円のみの相続では、今後の生活が出来ない」ということもあり得ます。そこで、遺留分の侵害額を、他の相続人に請求することが出来ます。これを遺留分侵害額請求といいます。
遺留分の割合は、相続人の構成によって異なります。
相続人の構成 | 法定相続割合 | 遺留分割合 |
配偶者のみ | 全額 | 2分の1 |
被相続人の子ども(直系卑属)のみ | 全額 | 2分の1 |
被相続人の父母(直系尊属)のみ | 全額 | 3分の1 |
被相続人の兄弟姉妹のみ | 全額 | 遺留分なし |
配偶者・被相続人の子ども(直系卑属) | 配偶者 :2分の1 直系卑属:2分の1 | 配偶者 :4分の1 直系卑属:4分の1 |
配偶者・被相続人の父母(直系尊属) | 配偶者 :3分の2 直系尊属:3分の1 | 配偶者 :6分の2 直系尊属:6分の1 |
配偶者・被相続人の兄弟姉妹 | 配偶者 :4分の3 兄弟姉妹:4分の1 | 配偶者 :2分の1 兄弟姉妹:遺留分なし |
先ほどのケースでは、遺言書では配偶者の相続分は300万円となっていましたが、遺留分は1000万円(相続財産3000万円×遺留分割合6分の2)であることがわかりました。そこで、差額の700万円については、他の相続人である被相続人の父母に遺留分侵害額請求を行うことが出来ます。
なお、遺留分侵害額請求は、自分が持つ遺留分を侵害している相続や遺贈があったことを知ったときから1年か、相続開始の時から10年以内に行う必要があります。
遺留分侵害額請求は、請求するほうも請求されるほうも気分が良くないので、遺言書を作成する際には、相続人の遺留分を侵害しないように作成することがポイントです(遺留分を侵害していても遺言書は有効とされます)。