知っていて損はない相続の基本②
相続手続きの流れとは?
相続手続きの流れは、大きく5ステップに分かれます。
- ①遺言書の有無の確認
- ②相続人の調査
- ③相続財産の調査
- ④遺産分割・遺言執行
- ⑤名義変更手続きなど
- ①遺言書の有無の確認
被相続人が残した遺言書があるかどうかを確認しましょう。
相続人や遺言執行者に預けていたり、仏壇やタンス、金融機関の貸金庫においてあったりすることが多いようです。また、相続人が被相続人から「遺言書を作成している」旨を聞いているかもしれません。
もし遺言書が封緘されている場合は、絶対に開封しないようにしましょう。検認手続きが必要であり、もし開封してしまったら5万円以下の過料に処せられる可能性があるので気を付けましょう。
- ②相続人の調査
相続人が誰になるのかを確認します。このとき、被相続人の生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍謄本を取得し、相続人を調査します。戸籍謄本から、前妻の子供
などが見つかる場合もあり、チェックが必要です。また、必要に応じて被相続人の父母の戸籍謄本等も取得しなければならないこともあり、手間のかかる作業ですので、専門家にお任せするのも良いかと思います。
- ③相続財産の調査
被相続人が所有していた資産や負債を調査します。銀行に預けている預金や不動産、借入金や保証債務を調べなければなりません。
遺言書があれば、財産目録である程度の相続財産の調査が可能ですが、財産目録が無ければ調査に時間を要する場合もあります。
銀行預金なら残高証明書、不動産なら登記事項証明書や評価証明書などを集める必要があります。
- ④遺産分割・遺言執行
遺言書が無い場合は、②で調査した相続人全員で③で調査した遺産を分割することとなります。この際、話し合いで遺産分割することとなりますが、紛争になる可能性もあります。なお、話し合いで解決できない場合は、弁護士への相談や裁判所の判決で決定することとなり、時間・費用がかかってしまいます。
遺言書がある場合は、遺言書の通りに遺産分割することとなります。ただ、相続人全員の同意があれば遺言書に沿った遺産分割ではなく、相続人全員での遺産分割協議書での遺産分割も可能です。
- ⑤名義変更手続きなど
遺言書や遺産分割協議書で具体的にどの相続人がどの遺産を相続するかが決まれば、名義変更手続きを行います。
銀行預金でしたら、銀行に行き、被相続人の預金から出金したり振込したりすることとなります。その際、遺言書や遺産分割協議書、被相続人の生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍謄本などの提示が求められます。
不動産でしたら、法務局に行き、相続による不動産所有権移転申請を行う必要があります。なお、この申請をしない(所有者を被相続人のままにする)と、過料が科せられる可能性があります。
株式でしたら、証券会社での手続きが必要ですし、自家用車なら運輸局での手続きが必要になります。
多くの手続きは平日に行う必要があること、かなりの労力を要することから、専門家に依頼する方も多くいらっしゃいます。
まとめ
大まかな相続の流れは上記の通りですが、集めなければならない資料や、行かなければならない場所も多く、銀行手続きなどはチェックも厳しいため、何度もやり直しをするように言われることもあり、平日にお仕事をされている方やご高齢の方は難しいと思います。しかし、いつまでも相続財産(銀行預金や不動産、自家用車など)の名義人を被相続人にしておくわけにはいきません。
そこで、遺言書を作成し、遺言執行者を行政書士などに指名しておくことで、相続人の負担を極力減らすことが出来ます。行政書士では登記や税の申告は出来ませんが、銀行での手続きなど時間と手間のかかる相続手続きの多くを行うことが出来ます。