相続問題の具体例
相続問題の具体例
相続問題と一口に言っても、各家庭で様々です。
ここでは、相続問題とは相続人の間での争いをイメージし、ありがちな相続問題の具体例を挙げていきます。
遺言書の内容が不公平
遺言者が思いを込めて遺言書を残したものの、各相続人にとって不公平な内容になっていると、相続問題に発展することがあります。
さらに、相続人の一部からは遺言書の有効性を問われることもあるかもしれません。
もちろん、あえて不公平な内容を記載することもあるでしょう。その場合は、付言で何故このような内容にしたのかを記載すれば、相続人の間の紛争が回避できるかもしれません。
遺産分割協議での主張
遺言書を残していない場合、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。全員が納得した協議結果なら問題ありませんが、各相続人が「亡くなったお父さんの世話をしたのは私だから私は財産を多く貰うべき」「妹は大学費用を全額出してもらっているから、相続分は少なくていいだろう」などの主張をしがちです。
さらに、相続人の配偶者が口を挟んでくることもあります。こうなるとなかなか収拾がつかなくなるでしょう。
相続人からすると、お互いに言いたいことはあると思います。どうしても納得が出来ないのでしたら、弁護士を間に入れたり、裁判所で審判をしてもらうことも出来ます。ただし、お金と時間と手間がかかってしまいますので、出来る限り話し合いで解決するほうが得策であると考えられます。詳細は「遺産分割協議がまとまらなかったら?」をご覧ください。
不動産を誰が相続するか
自宅などの不動産を誰が相続するかも相続問題に発展しがちです。その不動産の価値はどうやって決めるのか、誰かが住み続けるのか、賃貸用不動産なら将来的な家賃収入も見込めるので高価値ではないか、など考えることがいっぱいあります。
また、『負動産』といわれるような価値の著しく低い不動産も存在します。相当な傷みようで、住むには多額の修理費が必要だと思われる不動産を目にしたことがあるでしょう。
そういった不動産でも誰かが相続しなければなりませんし、取得者は管理しなければなりません。さらに、その不動産を利用するつもりがなくても、所有しているだけで固定資産税や都市計画税を支払わなければなりません。実質的に負債のようなものと考える人も多く、相続人の間で『負動産』の押し付け合いが起きるかもしれません。
このように、不動産については相続人の間で取り合いにも押し付け合いにもなり得ます。良い不動産も悪い不動産も、その時の実勢価格によりますが、生前に売却することも視野にいれてもいいかもしれません。売却することにより不動産に関する余計な争いを避けることが出来ます。売却しないのであれば、遺言書で誰がどの不動産を相続するかを指定する方法も良いでしょう。
相続人が多数・知らない相続人がいる
遺産分割協議をする際には、基本的には相続人全員が協議に参加することになります。
もし相続人が多数いると、なかなか協議がまとまらないこともあります。また、被相続人の前配偶者との間の子も相続人になりますので、お互いに知らない間柄の相続人同士が遺産分割協議を行うことにもなりかねません。
遺産分割協議が成立しないと、いつまで経っても相続財産を相続人が使用することが出来ません。協議を後回しにしていると、再転相続や数次相続により、さらに相続人が増える可能性もあります。
このような相続人が多数いる場合や、前配偶者との間の子がいる場合にも、遺言書を作成しておくことで、相続人はスムーズな相続財産の承継をすることが出来ます。
相続財産を使い込んだ相続人がいる
相続人の一人が、高齢の親が無駄遣いをしないように財産を管理している、というケースがよくあります。親の銀行のキャッシュカードをその相続人が管理し、入金された年金のうち、毎月いくらかを親に現金で支払う方法などがあります。
この場合、キャッシュカードを管理している相続人が、親のお金を勝手に自己使用することも出来てしまいます。例えば、月当たり10万円の年金収入があり、そのうち7万円を親に渡し、残った3万円は管理相続人が浪費していたとします。その後、親が亡くなった場合はどうなるでしょうか?
キャッシュカードを管理していない他の相続人からすると、不信感や不満感があるかもしれません。それをきっかけに、相続人の間で言い争いに発展しかねません。
もし親を含めて他人の財産を管理するときは、しっかり帳簿などをつけ、第三者からみても納得のいくような管理体制にしておくことをお勧めします。
遺産分割協議後に新たな資産・負債が見つかった
亡くなった方の資産や負債を全て把握することは困難です。あらゆる方法を使って相続財産の調査を行うのですが、どうしても調査しきれない資産や負債はあります。
もし遺産分割協議後に新たに資産・負債が見つかった場合は、新たに見つかった資産・負債の分だけで再度遺産分割協議を行うことになります。
2度目の遺産分割協議の際、「1度目の遺産分割協議の時は言わなかったけど、〇〇がそれだけの遺産を受け取るのは納得いかない」と感情的になる相続人がいるかもしれません。
また、被相続人に多額の借金があることが判明し、相続人全員が困惑するかもしれません。
出来ることなら、生前に遺言書を作成すると良いでしょう。遺言書を作成するつもりがないのでしたら、財産目録を作成しておくと、相続人は被相続人の資産・負債を調査する手間が減ります。
まとめ
・相続問題には様々な種類があります。
・被相続人が生前に準備しておくことで、相続問題を回避する可能性が上がります。