良い借金・悪い借金

 借金には「良い借金」と「悪い借金」があるのはご存じでしょうか?お金を借りることが全て悪いことではありません。

 金融機関は、事業者にとって良い借金であるかどうかも審査しています。
 銀行などは、普通預金や定期預金を預けてくれる預金者から預金を集め、事業者に融資を行っています。これを金融といいますが、もし事業者がギャンブルのために銀行から借入を行うと、まわりまわって預金者が不利益を被ることがあります。ですので、金融機関は事業者の資金使途などを厳しくチェックしているのです。
 融資審査については、「融資審査のポイント」もご参照ください。

 ここでは、良い借金と悪い借金について説明します。

良い借金

 良い借金とは、投資を行うことにより、リターンを得ることを目的としている借金です。
 例えば、奨学金(教育ローン)や住宅ローン、事業資金などが挙げられます。
 ただし、いきなり多額の借入をするのではなく、自社の規模にあった借入から始めましょう。

 奨学金(教育ローン)は、自分が大学などで知識をつけて様々な経験をする、いわゆる自己投資のために借りるものです。その結果として、奨学金(教育ローン)以上のリターン(収入)を得ることを目的としています。

 住宅ローンも、基本的には良い借金に分類されます。人によっては持ち家より賃貸のほうが良いという方もいらっしゃいますが、それは人それぞれであると考えます。
 住宅ローンを返済し続けていけば、いずれゼロになりますが、住宅ローンで購入した不動産の価値は基本的にはゼロにはなりません。住宅ローン完済時に不動産は資産として残りますし、住宅ローン返済中でも、いずれは住宅ローン残高より不動産価値のほうが上回ります。何より、返済さえ滞りなければ、その不動産に住み続けられるという安心感もあります。
 以上のように、住宅ローンのリターンとしては、資産が残ること、その不動産に住み続けられる安心感があることなどがあります。
 ただし、不動産の管理はきっちりしなければなりませんし、立地や築年数などを加味し、災害リスクにも備えなければいけません。

 事業資金については、良い借金と悪い借金の両者があります。悪い借金の事例は後述します。
 事業者は大なり小なり事業規模の拡大を目指しています。
 しかし、事業規模拡大のためには元手が必要な場合がほとんどです。そして、元手があればあるほど、利益が大きくなります。そして事業拡大までのスピードが速くなります。これをレバレッジ効果といいます。

 例えば、現金200万円の法人が、利益率20%の案件を行うと、利益40万円です。しかし、金融機関から200万円を借り入れて利益率20%の案件を行うと、現金400万円×利益率20%=80万円の利益です(経費や借入金返済額は勘案していません)。最初は借入金の有無の差が小さくても、回数を重ねるごとに大きな差になっていきます。下表のとおり、200万円を借り入れて利益率20%の案件を3回こなすと、借入金以上の利益が出るようになります(計291.2万円)。
 上記の例は運転資金をイメージしていますが、機械投資や賃貸用不動産投資なども良い借金に当てはまります。

借入なし借入200万円
自己資金200万円200万円
借入金0万円200万円
元手(自己資金+借入金)200万円400万円
1案件目の利益(利益率20%)40万円80万円
1案件目終了後の元手 240万円480万円
2案件目の利益(利益率20%)48万円96万円
2案件目終了後の元手 288万円576万円
3案件目の利益(利益率20%)57.6万円115.2万円
3案件目終了後の元手 345.6万円691.2万円
当初元手との差額145.6万円291.2万円

悪い借金

 悪い借金は、良い借金とは違い、投資を行ったりしません。
 例えば、博打やギャンブルをするためにお金を借りたり、事業を継続させるためだけの事業資金などです。

 博打やギャンブル目的の借入金は、当然に悪い借金であると理解できると思います。なぜなら、返済可能性が低いからです。100%勝てる博打やギャンブルはありませんし、あったとしても違法なものであると考えられるので、もしこういった目的で借金をしようと思っている方がいましたら、やめておきましょう。

 さて、事業資金の中でも悪い借金があると前述しました。
 事業がどうにも行き詰まっており、今のままでは回復の見込みがなく、借金をしても改善に繋がらない状態の事業者はいます。今の借入金を新たな借入金で賄い続ける事業者もいます。
 そういった借入金は投資ではありませんし、無駄に利息を支払い続けるだけになります。厳しいことを言いますが、傷が広がらないうちに撤退することも経営者の務めです。
 しかし、どうしても事業を継続したいというのでしたら、今まで通りの事業ではいけません。経営改善が必須です。本来でしたら、金融機関が経営改善窓口となり、必要な事業資金やノウハウを提供するべきなのですが、なかなか出来ていない金融機関が多いのが実情です。他にも、商工会議所など様々な窓口はありますので、新たな借入金を起こすのではなく、前向きな意見とアドバイスを頂けるように、自分から行動する必要があります。

まとめ

・借金の目的により、良い借金か悪い借金かが決まります。
・借入金を元手にして事業を進めると、借金をしないときより早く、多く利益を残せる可能性が高まります。

良い借金・悪い借金” に対して2件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です