遺言書を遺すために必要なもの

 遺言書を作成するためには、様々な資料等を準備しておく必要があります。資料といっても、多くは自宅にあるものばかりだと思いますので、ご安心ください。

 作成する遺言書の種類によって、必要なものが異なります。また、公正証書遺言と秘密証書遺言は、自分で作成する場合でも公証人手数料が必要です。金額は「手数料について」をご参照ください。

必要なもの 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言 備考
白紙・ペン フリクションペン(消えるペン)は使用出来ません。
公正証書遺言の原案を作成する場合は白紙に記入しても構いません。
パソコン・
プリンター
自筆証書遺言は財産目録
公正証書遺言は原案
秘密証書遺言は全文に使用することが出来ます。
遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本 専門家に依頼するときは必要です。
受遺者の住民票 専門家に依頼するときは必要です。
相続人以外の人に遺贈するときに必要です。受遺者の氏名・住所を確認します。
遺言者の印鑑証明書 公正証書作成時から3ヵ月以内に発行されたものが必要です。
預金通帳
定期預金証書
専門家に依頼するときは必要です。
銀行名・支店名・預金種類・口座番号を確認するために必要です。
全部事項証明書
(不動産の謄本)
専門家に依頼するときは必要です。
所在・地番などを確認するために必要です。
証券会社との取引資料 専門家に依頼するときは必要です。
株式銘柄・数量などを確認するために必要です。
車検証 専門家に依頼するときは必要です。
自動車を特定するための情報を確認するために必要です。
その他資産・負債についての資料 専門家に依頼するときは必要です。

〇:必要
△:あれば好ましい
✕:不要
このほか、専門家に依頼する場合は運転免許証などの身分証明書も必要になります(本人確認のため)。

 自筆証書遺言書や秘密証書遺言書、公正証書遺言書の原案を作成しようとした場合、自身が預金している銀行および支店名、預金種類、口座番号などを記載する必要があります。余程でなければ、これらすべての情報を覚えている方はいらっしゃらないかと思いますので、実際は預金通帳や全部事項証明書などの資産の資料を準備する必要があります。また、自筆証書遺言では財産目録として預金通帳のコピー等を添付することも認められていますので(ただし署名・押印は必要ですが)、その点を考えて預金通帳等を用意しましょう。
 ちなみに、預金の残高は遺言書に記載する必要がありません。むしろ記載すると、実際の相続手続きのなかで、預金払戻しのときにややこしくなります。

 専門家に依頼せず、自筆証書遺言書を作成する場合、誰が相続人になるかなどは自身で分かっていらっしゃると思います。その場合は、わざわざ遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本を取得する必要はないと思います。ただし、遺留分の問題や、隠し子がいる場合に相続人の間で揉める可能性も否定は出来ませんので、不安があるようでしたら専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

 このように、遺言書を作成するのにもルールがありますし、用意する資料も多岐に渡り、時間と労力がかかります。このことから、遺言書作成に前向きになれない方もいらっしゃいますが、家族や相続人のことを考えれば、費用はかかりますが専門家に依頼してもいいのではないかと思います。
 専門家は遺言書原案を作成するだけでなく、遺言者へのアドバイスも出来ますので、自身で作成するより安心な遺言になるでしょう。

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