株式会社の機関とは?

 株式会社は法人ですが、実質的に意思決定したり、取引行為や監査などを行うことは個人が行います。これらを行う人や人の集団を、会社法では機関といいます。株式会社の機関は10種類あり、設置しなければならない機関と、定款に記載すれば設置できる機関があります。

①株主総会

 全ての株式会社が設置しなければなりません。
 株主総会は、株式会社の重要な事項を決議する機関です。取締役会を設置していなければ全ての事項を、設置していれば一部の事項を決議します。

②取締役

 全ての株式会社が設置しなければなりません。
 会社の業務を行う機関です。1人でも複数でも構いません。
 なお、取締役が1人の場合はその人が代表権を有します(いわゆる代表取締役です)。取締役が複数人いる場合、取締役会を設置していなければ取締役全員に代表権があります。取締役会を設置していれば、取締役会の決議により代表取締役を選任しなければなりません。また、代表取締役を複数人にすることも出来ます。
 詳細は、「取締役って?」をご参照ください。

③取締役会

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 会社の意思決定を行う機関です。
 公開会社(※)の場合は、取締役会の設置が義務付けられています。また、監査役会・監査等委員会・指名委員会等を設置した場合も、取締役会を設置しなければなりません。
 なお、取締役会を設置するためには、原則として最低でも取締役3人と監査役1人が必要です。

※公開会社
 公開会社とは、発行する株式の一部もしくは全部に株式譲渡制限をつけていない会社を言います。逆に、全ての株式に譲渡制限をつけている会社を非公開会社といいます。上場企業は公開会社、それ以外は非公開会社と考えても構いません。

④監査役

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 取締役や会計参与を監査する機関です。
 取締役等をチェックする機関ですので、取締役会で選任されることはなく、株主総会で選任されることになります。
 取締役会を設置した場合は、監査役か監査等委員会の設置が必要です。なお、監査等委員会を設置する場合は、監査役は設置出来ません。

⑤監査役会

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 監査役全員で構成する機関です。
 監査役3人以上が必要で、過半数が社外取締役でなければなりません。

⑥会計参与

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 株式会社の計算書類を作成する機関です。
 会計参与になれるのは、公認会計士が税理士(税理士法人)でなくてはならず、株主総会で選任されます。

⑦会計監査人

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 計算書類等を監査する機関です。
 社外の公認会計士か監査法人でなければなりません。
 また、委員会設置会社や大会社は会計監査人を設置する必要があります。

⑧監査等委員会

 定款で定めることにより設置することが出来ます。
 取締役の執行職務等の監査等を行う機関です。
 委員は取締役の中から、株主総会の決議を経て選任されます。
 なお、3人以上の委員の選任が必要で、過半数が社外取締役でなければなりません。

⑨指名委員会等

 取締役の選任等を行う機関です。
 委員は取締役の中から、取締役会の決議を経て選任されます。
 なお、3人以上の委員の選任が必要で、過半数が社外取締役でなければなりません。

⑩執行役

 取締役会から委任された業務の意思決定や執行を行います。
 指名委員会等設置会社では、必ず設置しなければなりません。
 1人でも複数人でも構いません。



 以上のように、株式会社の機関は多くの種類があります。
 しかし、上場企業やある程度規模の大きい法人でない限り、多くの中小企業は①株主総会、②取締役のみとなっていると思います。
 規模が大きくなると、どうしても株主(オーナー)の目が届かないことが出てきます。そこで、これらの機関により厳正にチェックしています。

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