取締役って?

 取締役とは、株式会社に設置しなければならない機関の1つです(「株式会社の機関とは?」を参照ください)。
 株式会社には、必ず取締役を設置しなければなりません。多くの人は「あぁ、取締役って役員みたいなものでしょう」をお思いになると思います。概ねその認識で間違いではありませんが、実は会社法で禁じられていることも多くあります。「いつかは株式会社を設立して、(代表)取締役になるんだ!」と考えているなら、知っておいたほうが良いことをまとめましたので、ご参考にして頂ければと思います。

 まず、「役員」とはどの機関を指しているのかは法律によって若干異なります。
 会社法での役員は、「取締役」「監査役」「会計参与」です。
 会社法施行規則と会社計算規則での役員は、「取締役」「監査役」「会計参与」「執行役」です。
 よって、「取締役=役員」の考えで問題ありません。

 取締役の職務は、業務の執行について意思決定することです。取締役が複数人いる場合は、過半数で決定を行います。なお、取締役会を設置している場合は、取締役会のメンバーとして意思決定することになります。
 取締役が複数人いる場合、取締役会非設置会社なら、定款に定めるか株主総会にて代表取締役を決めることが出来ます。また、取締役会設置会社なら、取締役会で代表取締役を選任しなければなりません。なお、代表取締役は複数人いても構いません。複数代表の法人も多くあります。

 取締役には善管注意義務忠実義務があります。取締役の職務を怠ったり、競業取引や利益相反取引を行うなどした場合、会社に対して損害賠償責任が発生することもあります。

 取締役の選任と解任は、株主総会で決議されます。なお、解任については任期に関わらず、いつでも行うことが出来ます。
 株主(会社のオーナー)が、その会社の経営を誰に任せるか(=誰を取締役にするか)を株主総会で決める、とイメージすると分かりやすいと思います。

 一度取締役に就任すると、株主の思いのよらない経営をし始める可能性があります。そこで、取締役の任期は、原則として2年と定められています。
 ただし、非公開会社(発行株式のすべてに譲渡制限がついている株式会社)の場合は定款で任期を10年まで伸長することが出来ます。取締役の任期が到来したときは、きちんと重任手続きをとり、登記をする必要があります。

 役員報酬は、好き勝手に決めていいものではありません。
 定款で定めるか、定款に定めていないときは株主総会の決議で決める必要があります。あくまで取締役は経営側の人間であって、その会社の所有者ではありませんので、会社の所有者(株主)が決めることになります。
 なお、金額が確定しているもの(例えば毎月30万円)の場合はその金額を、業績によって決める場合は、具体的な算出方法を定めなければなりません。

 以下の場合は、取締役に就任することが出来ません。法人はともかく、要は悪いことをした人を取締役にさせないようにしています。
 ・法人
 ・会社法などの会社経営に関する法律に違反して刑に処せられ、執行の終了、または執行猶予期間の終了時から2年を経過していない者
 ・会社法などの会社経営に関する法律以外の法令に違反して刑に処せられ、禁固以上の刑に処せられ、刑期が終わっていない者など

 以上は、会社法で定められている取締役のルールなどの一部です。「役員なんて楽そうだなぁ」と思っていたかもしれませんが、思ったより法律に縛られていることをご理解頂けたかと思います。。
 上記は、基本的に取締役と株主が別人であることを前提としていましたが、取締役=株主の法人も多く存在しています。その場合は、ある程度の裁量を持つことになりますが、他の取締役や株主の権利を損なわないように細心の注意を払う必要があります。

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