相続不動産について
相続財産に不動産が含まれていることはよくあります。今回は、相続不動産についてご説明したいと思います。
そもそも不動産とは、民法86条1項にて「土地及びその定着物は不動産とする」と定められています。多くの人は、不動産といえば土地と建物をイメージされますが、その他に立木や石垣も不動産になります(ただし、土地に定着しているものに限ります)。
ちなみに、民法86条2項にて、「不動産以外の物は、すべて動産とする」と定められています。
相続不動産には、自宅のほか、賃貸用不動産や田畑、森林、その他土地などがあります。被相続人(亡くなった人)は、善意で不動産を相続したかもしれませんが、相続人からすると負担に感じていることも少なくありません。
例えば、奈良県に自宅を有していた被相続人が、東京に住んでいる相続人である子どもに奈良県の自宅を相続したとしましょう。 相続人からすると、奈良県の不動産の固定資産税・都市計画税の支払いもしなければなりませんし、不動産管理者として管理をし続ける必要もあります。誰かに賃貸しようとしても、片付けや入居者募集など、多くの手間もかかります。また、賃貸できるエリアの不動産なら良いですが、山中にある不動産や遊休地、活用のしようがない不動産を相続すると、それこそ「不動産」が実質的な負債となり「負動産」となってしまうかもしれません。
もし不動産を相続するか悩まれているのでしたら、相続人に相談して、今の自宅を相続する意思があるかを確認してみるのも良いかもしれません。相続人全員が、当該不動産を相続したくないのでしたら、今のうちに対策しておくことをオススメします。
対策法①:不動産を売却する方法
➡不動産を売却して所有権がなくなれば、その不動産を相続することはなくなります。しかし、その後の住まいをどうするかを考える必要があります。基本的には不動産を売却して賃借(引っ越し)するかリースバックするかになると思います。
リースバックとは、不動産を売却し、ある程度まとまったお金を手に入れつつ、その不動産に住み続けるものです。もともと自分の所有していた不動産を賃借することになりますので、家賃の支払が必要です。
問題点として、不動産を希望した金額で売却できるかが挙げられます。また、賃借する場合は入居審査に通るかどうかも問題として挙げられます。
対策法②:遺言書で不動産を遺贈する方法
➡遺言書を作成していなければ、当該不動産は相続人が相続することになります。遺産分割協議も必要となりますし、相続人の間で当該不動産の押し付け合いが起きる可能性もあります。
そこで、遺言書で当該不動産を遺贈する方法もあります。遺贈することにより、相続人以外の人(例えば、内縁の配偶者や友人など)に当該不動産を贈与することが出来ます。
ただ、相続人以外への遺贈の場合は不動産取得税がかかることになりますので、受遺者には十分な資力が必要です。
このように、相続不動産は悩みどころですので、早めに今後のことを考えるのも良いかと思います。また、不動産を相続するにしても換価しづらいので、その後の使い道をしっかり考える必要があります。相続人が不動産を相続したときの分割方法は、コチラをご参照ください。