遺言書を作るべき人・作らなくていい人
「遺言書なんて作る必要があるの?作らなくていいでしょ!」と考えている方は大勢いらっしゃいます。ですので、遺言書を作るべき人・作らなくていい人をまとめてみました。
まず前提として、遺言書がないと、相続人の間で争いが起こる可能性があります。「相続」が「争続」とならないように、あらかじめ対策しておくのです。
ちなみに、遺産分割事件のうち、約8割が相続財産5,000万円未満です。「うちには相続財産なんてそんなにないから大丈夫だよ」その考えが、ご家族(相続人)の将来を大きく左右するかもしれません。
前置きが長くなりましたが、遺言書を作るべき人・作らなくていい人はこのような人です。
遺言書を作るべき人
①子どものいない夫婦で、配偶者など特定の相続人に財産を残したい人
➡遺言書がないと、法定相続により配偶者と自分の父母や兄弟姉妹が相続する可能性があります。配偶者からすると、義父母や義兄弟と遺産分割協議はなかなかしづらいと思いますので、配偶者のためにも遺言書の作成を考えてみてはいかがでしょうか?
②内縁の配偶者や相続人の配偶者などの相続人ではない人に財産を残したい人
➡遺言書がないと、相続人以外の人に財産を残すことが出来ません。内縁の配偶者のためにお金や住む場所を残してあげたいのでしたら、遺言書の作成が必要です。また、子どもの配偶者が献身的に介護などをしてくれたのでしたら、その苦労に報いるためにも、遺言書を作成して財産の一部を遺贈するのも良いかもしれません。
③再婚しており、前の配偶者との間に子どもがいる人
➡遺言書がないと、前の配偶者との間の子どもも相続人となり、その分、他の相続人の相続財産が減る可能性があります。今の配偶者との間の子どもと、前の配偶者との間の子どもがいる場合は、お互いが知らない可能性もあります。知らない者同士で遺産分割協議を行うことはなかなか難しいと考えられますので、遺言書の作成をオススメします。
④不動産はあるが、現預金は少ないなど相続財産の種類に偏りがあり、分割が難しい相続財産がある人
➡遺言書がないと、換価が難しい相続財産を相続した人が文句を言うかもしれません。自動車ならまだしも、不動産はすぐに売却できるとは限りません。売却できない不動産は誰かが相続しなければなりませんし、固定資産税もかかり、管理もしなければなりません。相続財産の換価性や処分性、相続人の意向などを鑑みて遺言書を作るべきです。
⑤相続人の中に、連絡が取れない人がいる
➡遺言書がないと、遺産分割協議で相続財産を誰に何をどれだけ相続するかを決めますが、相続人全員の参加が必要であるため、連絡が取れない相続人がいると、いつまで経っても遺産分割協議が出来ません。遺産分割協議が出来ないということは、相続財産に手を付けることが出来ず、そのまま放置していると、数次相続が発生する可能性もあります。遺言書を作成することにより、早期に相続財産を各人に分配することができます。
遺言書を作らなくてもいい人
①相続財産が預貯金のみで金額も少ないなど、分割が容易で、相続争いが起きる見込みの少ない人
➡多数の銀行に分けて預金をしている場合は、遺言書よりも相続財産目録の作成をおすすめします。相続財産目録があれば、被相続人が亡くなったときに相続人がスムーズに財産調査と相続をすることが出来ます。
②相続人は配偶者と子どもだけで、父母や兄弟姉妹がいない人
➡配偶者と子どもが不仲であれば、遺言書を作成することをおすすめします。
まとめ
多くの人は、「遺言書を作るべき人」に該当するのではないでしょうか。遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
自分や相続人、相続人以外に遺贈したい人の将来を考えれば、「遺言書は作成しておいたほうが良いのではないか」と考えるでしょう。
しかし、「遺言書や相続などのことが良く分からない」という方は、是非専門家にご相談ください。私も出来る限りのサポートをさせて頂きます!
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