「法定相続」
法定相続とは、民法で定められた相続人や順位、相続割合で相続することです。法定相続に対し、民法の定めに反した相続人や順位、相続割合で相続することを任意相続と言います。
民法で定められた相続人・順位・相続割合は基本的には以下の8パターンです。
配偶者は常に相続人になり、子どもは第1順位、父母は第2順位、兄弟姉妹は第3順位になります。
割合はあくまで民法上の目安ですので、ぴったり2分の1に分けなければならない、というものでもありません。
被相続人に配偶者と子どもがいる場合
(相続人が配偶者と第1順位者の場合)

相続人は配偶者と子どもとなり、相続割合は配偶者が2分の1、子どもが2分の1になります。また、子どもが複数人いるときは、子どもの相続割合(2分の1)を子どもの人数で割った分が、子どもそれぞれの相続分となります。
例えば、相続財産が6,000万円、相続人が配偶者と子ども2人の場合は、配偶者の相続分は3,000万円、子どもそれぞれの相続分は1,500万円になります。
なお、子どもが①既に亡くなっている、②相続欠格である、③相続廃除されている、のいずれかの場合で、その子供に孫がいる場合は、孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。
被相続人に第1順位者がおらず、配偶者と父母がいる場合
(相続人が配偶者と第2順位者の場合)

相続人は配偶者と被相続人の父母となり、相続割合は配偶者が3分の2、被相続人の父母が3分の1となります。被相続人の父母が両名ともいる場合には、父母それぞれの相続割合は6分の1になります。
例えば、相続財産が6,000万円、相続人が配偶者と被相続人の父母(両名とも生存)の場合は、配偶者の相続分は4,000万円、父母それぞれの相続分は1,000万円になります。
被相続人に第1順位者・第2順位者がおらず、配偶者と兄弟姉妹がいる場合
(相続人が配偶者と第3順位者の場合)

相続人は配偶者と被相続人の兄弟姉妹となり、相続割合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。また、被相続人の兄弟姉妹が複数人いるときは、兄弟姉妹の相続割合(4分の1)を兄弟姉妹の人数で割った分が、兄弟姉妹それぞれの相続分となります。
例えば、相続財産が6,000万円、相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹2人の場合は、配偶者の相続分は4,500万円、兄弟姉妹それぞれの相続分は750万円になります。
なお、兄弟姉妹が①既に亡くなっている、②相続欠格である、③相続廃除されている、のいずれかの場合で、その兄弟姉妹に子ども(被相続人からみて甥・姪)がいる場合は、甥・姪が相続人になります。
被相続人に配偶者のみがいる場合
(第1順位者、第2順位者、第3順位者がいない場合)
相続人は配偶者のみで、被相続人の資産負債を全額相続します。
被相続人に子どものみがいる場合
(配偶者がいない場合)
相続人は子どものみで、被相続人の資産負債を全額相続します。ただし、子どもが複数人いる場合は、子どもの人数で割った分が、子どもそれぞれの相続分となります。
なお、子どもが①既に亡くなっている、②相続欠格である、③相続廃除されている、のいずれかの場合で、その子供に孫がいる場合は、孫が相続人になります。
被相続人に父母のみがいる場合
(配偶者、第1順位者がいない場合)
相続人は被相続人の父母のみで、被相続人の資産負債を全額相続します。ただし、被相続人の父母が複数人いる場合は、父母の人数で割った分が、父母それぞれの相続分となります。
被相続人に兄弟姉妹のみがいる場合
(配偶者、第1順位者、第2順位者がいない場合)
相続人は被相続人の兄弟姉妹のみで、被相続人の資産負債を全額相続します。ただし、被相続人の兄弟姉妹が複数人いる場合は、兄弟姉妹の人数で割った分が、兄弟姉妹それぞれの相続分となります。
なお、兄弟姉妹が①既に亡くなっている、②相続欠格である、③相続廃除されている、のいずれかの場合で、その兄弟姉妹に子ども(被相続人からみて甥・姪)がいる場合は、甥・姪が相続人になります。
被相続人に配偶者、第1順位者、第2順位者、第3順位者がいない場合
相続人がいないこととなります。遺言書がなく、特別縁故者がいない場合、相続財産は国庫に帰属することになります。
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